公益社団法人 日本紅卍字会会報(57号) 2024年 9月


                書画壇書跡 題:「玄之又玄」 済佛降筆
      


【会報57号 目次】
1. 名句あっぷ        ……一色源太郎
2.烈士烈女伝         ……一色源太郎
3. コラム 展望台―5―   ……黒川謙介
4. 功行費 (2024年6月~2024年8月)  
5. 積善箱
6. 事務局から
   
           *   *   *   *   *

名句あっぷ(古今の名句、名言を紹介します)

 
どのような石であったとしても、それを『美しい』と 愛でる人間さえいるのなら、極論ではその石は『宝石』たりうるのです。 ――リチャード・ラナシンハ・ドウルピアン
(出典:辻村七子「宝石商リチャード氏の謎鑑定 転生のタンザナイト」『麗しのスピネル』109ページ、集英社オレンジ文庫、2018年1月19日)
 永い時を経て地球に育まれた美しい鉱石は「宝石」と呼ばれ、古くから輝きを添える存在として人間の歴史と共に在りました。豊かさの象徴として、 自身を飾る宝飾品として、あるいは神との繋がりをもつ道具として、そして愛を伝えるためのものとして、美しい宝石は今も昔も人の心を惹きつけてやみません。
しかしひとくちに「宝石」と言っても、様々なものが挙げられます。エメラルド、ガーネット、ダイヤモンドなどが有名ですが、実はこれらは全く違う元素が 基になっているのです。エメラルドは、ケイ素Si・ベリリウムBe・アルミニウムAlなどの元素を含み、微量のクロムCrやバナジウムVによって緑色に着色しています。 そんな多くの元素が結合しているエメラルドに比べ、ダイヤモンドは炭素Cのみで構成されています。また、ルビーとサファイアは一見全く違うものに見えますが、 実はどちらもアルミナAl2O3からできている宝石で、赤いものをルビー、それ以外をサファイアと呼んでいるのです。他にも琥珀や珊瑚、真珠など鉱物の区分に当てはまらないものも、「宝石」として愛されています。 つまり、「宝石」の定義はとても曖昧で不確かなものなのです。
では、一体何が「宝石」を「宝石」たらしめるのでしょうか。
 「どのような石であったとしても、それを『美しい』と愛でる人間さえいるのなら、極論ではその石は『宝石』たりうるのです。」
 これは、物語の中で宝石商を営む人物が、宝石の本質について語った言葉です。価格でも市場価値でも専門家の鑑定でもなく、 人が“美しい”と感じることが宝石の本質なのだと、彼は語りました。「その石は、あなたの瞳に映るからこそ『宝石』になるのです。」と。
 「美しい」という言葉は、数ある形容詞の中でも最も主観性の強い言葉の一つであると言えます。定義がひどく曖昧で、その人がどう思ったか、 その人にとってどうであったかによって、それの形は流動し変化を重ねます。
 しかしだからこそ、「美しい」は簡単には否定できない強い言葉でもあるのです。
 現代という時代において、変わるわけがないと思われていたさまざまな物事の定義が揺らぎつつあります。性別、結婚、人間関係、愛の形、自由の意味など、 少し前まで疑う余地すらなかったものが、私たちの中ですでに確固たる正解を失い朧げなものとなっていると言えるでしょう。不確かで、不安定で、 何もわからず恐ろしく感じるときもあるかも知れません。不寛容な多様性が蔓延った社会の中で、あなたの「美しい」が誰かに否定されるときがあるかも 知れません。
 そんなときは、この言葉を思い出してほしい。あなたが「美しい」と感じた事実は、決して覆らないのだと思い出してほしい。 たとえ世間一般から外れていたとしても、誰に否定されたとしても、あなたがそれを「宝石」だと思う限り、それは「宝石」であり続けるでしょう。

2.烈士烈女伝(前漢の劉向による『列女伝』に倣い、社会福祉に貢献した人を紹介します)

安藤百福
 さまざまな物が便利になっていく世の中で、安い・速い・美味いを叶えるインスタント食品は、私たちの生活の中でなくてはならないものとなっています。 その中でもラーメンは最もポピュラーな商品であり、世界中で数え切れないほどの味や種類が展開されています。そんなインスタントラーメンですが、 世界で初 めて作られたのは日本でのことでした。
 インスタントラーメン発祥の地は大阪。1958年に、大阪府池田市の自宅裏庭の小屋で、安藤百福という人によって生み出されました。 ありふれた道具を使って発明されたチキンラーメンは「魔法のラーメン」として瞬く間に有名になったそうです。
 その後、安藤百福は食習慣の壁を超えることを目標に、様々な知恵と革新的な発想を結集させカップヌードルを発明しました。アメリカに視察に行った際、 フォークでチキンラーメンを食べる姿を見て閃いたそうです。これにより、日本で生まれたインスタントラーメンが「世界食」に生まれ変わりました。
 安藤百福は、既存の概念に囚われることなく、常に奇抜な発想をもち、日常を新鮮な眼で観察し続けました。そうして食文化の発展に大きく貢献した彼には、 数多くの勲章や表彰状が送られたそうです。
 「食」というのは、人にとって、生き物にとって、日々を営む上で欠かせない重要な要素です。誰でも簡単に温かいご飯を食べられる、 という新たな食の形を発明することでそんな食文化を大きく発展させ、今なお世界中で愛される商品を生み出した、インスタントラーメンの父とも 呼べる安藤百福は、間違いなく偉人の一人であると言えるでしょう。

相馬黒光
 日本での古くからの一般的な主食は米ですが、現代では米と同じくらい愛されている主食にパンが挙げられます。サンドイッチやフランスパンなどはもちろん、 菓子パンや惣菜パンなど日本で独自の発展を遂げたものも多くあり、今やパンは私たちの生活になくてはならないものとなりました。
 日本におけるパンの歴史では、木村屋のあんぱんがとても有名です。当時外国から持ち込まれたばかりのパンを、日本人に馴染み深い餡子と融合させることで、 一躍人気商品となりました。しかし今回は、あんぱんと同じくらい今も愛されているクリームパンを初めて売り出した、中村屋の相馬黒光という人を紹介したい と思います。
 相馬黒光とその夫愛蔵は、当時広まり始めていたパンに目をつけ、パン屋を創業しました。1901年にパン屋を居抜きで買い取り、店名はそのまま「中村屋」 としたそうです。そして1904年に後の日本三大菓子パンの一つであるクリームパンを創案し、発売しました。
 相馬夫妻はある日、初めてシュークリームを食べてそのおいしさに驚きます。そしてこのクリームをあんぱんの餡のかわりに用いたら、 一種新鮮な風味が加わって、あんぱんよりも少し高級なものになると考えたのです。また、子どもにとっては、乳製品を使ったクリームは栄養価の面で良いの ではないかという考えもありました。早速作って店に出してみるとこれが大好評であったそうです。現代まで続く大ベストセラー商品は、 このようにして誕生しました。
 相馬黒光はやり手の実業家であると同時に、深く芸術を愛した女性でもありました。明治女学校時代には北村透谷や島崎藤村などの講義を受け、 文学に傾倒したそうです。中村屋創業後も、中華饅頭・月餅・インド式カリー等新製品の考案や喫茶部の新設など本業に勤しむ一方で、 絵画や文学のサロンをつくっては芸術家たちに交流の場を提供し、「中村屋サロン」と呼ばれました。また、外国から亡命してきた人たちを何人も面倒を見たり、 信夫韓一郎の良き理解者になったりなど、多くの人を助け支援する生涯を送りました。 

3.コラム 展望台―5―
アニマルウェルフェア 
 「アニマルウェルフェア」という言葉をお聞きになったことがありますか。この言葉(英語)は、そのまま訳すと動物福祉・動物愛護という意味になります。 元来は文字通り動物の愛護を目的とした考え方で「動物はその本来の行動をとれる良好な状態でなければならない」という視点であり、発祥の地欧州では、 主として畜産や酪農における家畜に対する考え方として1960年代から取り入れられています。つまり家畜も一商品というだけではなく、あくまでも生き物として 扱おうという思想で、その原点は動物へのあらゆる残虐な行為を排斥しようという英国のヴィーガニズムにあると考えられます。
 「アニマルウェルフェア」の基本原則には五項目があります。動物に対して:
・空腹と渇きからの自由
・不快からの自由
・痛み、けが、疾病からの自由
・恐怖と苦悩からの自由
・正常行動発現の自由
をそれぞれ確保するというものです。
 このように読むと動物愛護の観点のみと捉えられがちで、それも勿論大事なのですが、近年はそれと共に食の安全と結びついた思想として議論が 活発になっています。つまり、安全・健康に育てられた家畜を食すことが、消費者の安全にも繋がるという考えです。具体例としては世界の 運動団体(40以上)が団結して2017年にまとめた「ベターチキン・コミットメント(より良い鶏肉の約束)」があります。一般的な高密度飼育のブロイラーなどは、 成長を早めることを目的に運動をさせない詰め込み環境が多く、成長を促すホルモンを飼料に混入することもあり、その場合内臓や骨の成長が 体重増に追い付かず、内臓疾患を起こしやすくなるそうです。そしてそれを防ぐために抗生物質を投与する生産者もいるとの事。鶏は快適な環境(広い 鶏舎でスペースを与え、のびのびと成育させる)で飼育するのが理想ですが、結果として成長は遅く、且つその分餌代が余計に掛かり、 広い飼育スペースなどの諸経費もかさむことになり、それが浸透する障害となっているようです。しかし人工的に急成長し肥大化させられた鶏肉より、 健康な鶏を食す方が消費者の健康にも良いと考えるのは自然です。成長ホルモンや抗生物質の投与が鶏肉に反映されるのであれば、これらは直接「食の安全」に 抵触する可能性もあります。そこで、最近では与える飼料のバランスに配慮して飼育環境と同時に鶏肉・鶏卵の生産性向上に取り組む活動が拡大しています。 また飼養管理の適正な農場では家畜の事故率も低いので、無駄なく効率的な畜産が可能となりコスト面で有利であり、且つ排泄物中の環境負荷物質も 低減する効果が見られるとのこと。
 ノルウェーの鶏肉生産大手N社は2018年に健康的な環境で飼育された鶏肉の採用に全面的に切り替えています。そして運動団体は生産業者、食肉提供業者に対し 「適切なスペースを与える」「鶏舎の通気性や照明を改善し、快適な生活環境を提供する」「苦痛を与えない方法で食肉処理する」の更なる推進を求めています。 因みにサンドウィッチチェーンの「サブウェイ」は欧州圏で2026年までに、使用するすべての鶏肉に適正環境での飼育条件を適用すると宣言しています。 これは勿論「安全」を謳うマーケティング戦略の一部でもありますが、世界の趨勢はこちらを向いているといえるでしょう。運動団体への誓約企業は欧州では 既に350社、米国で200社を超え、KFCやネスレ、バーガーキング、デニーズ、スターバックスなど聞き覚えのある有名な会社が名を連ねています。
 一方で大きな流れとなっているのが採卵鶏のケージ廃止です。欧州では市場に出る卵一個ずつに飼育業態を示すスタンプが押され、有機飼育、有機飼育で 放し飼い、ケージ内鶏舎での放し飼い、ケージ飼育、をそれぞれ示す方式です。現在英国の大手スーパーではケージ飼育の卵はほとんど扱っていないとのこと。 日本では一羽当たりの面積を定めた法律がないので、どれだけの飼育密度にするかは経営判断次第だそうで、公益社団法人「畜産技術協会」の近年の 調査では採卵養鶏農家の91.5%がケージを使用。密集したスペースは他の鶏への攻撃を招くため83%の農家が、鶏のクチバシを切断しているとのことです。
 更に視点を養豚に向けてみると、また別の事態が見えてきます。筆者が驚いたのは、日本国内では母豚の9割が妊娠期間中の4か月間、向きも変えられない 「妊娠ストール」で過ごすことです。その目的は効率的に出産を管理することですが、如何に豚が商品とはいえ、これは豚の心的環境を完全に無視した、 絶句するほどの酷さといえます。母豚用の豚は、その一生のほとんどを向きも変えられない檻(ストール)の中で過ごすことを繰り返すのだそうです。 我々日本人が現在消費している豚肉(国産)の多くは、このような経緯で生産されていることを、一度認識すべきでしょう。EUでは既に「妊娠ストール」を 虐待と見做し、法律で使用を禁止しています。それは動物愛護目的でもあり、また食の安全も視野に入っています。健康に育てられた家畜の方が食の安全に つながるという基本思想が底流にあるのです。幸いというべきか、漸く我が国でも、例えば「日本ハム」は2030年までに国内の全農場で「妊娠ストール」を 廃止すると発表しています。
 また肉用牛の飼養についても、輸出拡大やSDGs対応に伴い身体管理・飼養/栄養管理・不快/苦痛からの自由など各種の指針が農林水産省から昨年新たに 示されています。
 このように、アニマルウェルフェアに沿った経営を生産者が課されていくのは、今や社会の流れとなりつつあります。しかし、斯かる理想を追うにあたって、 一方的に生産者だけに負担を求めるのは、片手落ちで非効率です。折しもウクライナ危機や急激な円安で、例えば畜産用飼料価格は過去5年間で5割高騰して おり、多数の酪農・畜産農家が廃業の瀬戸際に立っているようです。この状況に加えてコストが増大する「有機飼料」や「放し飼い」などの理想を訴えても、 現実問題として実施困難な業者が多数に上るのは自然です。
 そこで、消費者側にもアニマルウェルフェアによる食の安全が同時に一定の生産コスト増を招くことを理解してもらう取り組みが必要です。筆者の親族が 関係している消費者運動の場合、一般の食肉より若干高めの価格ですが、より安全な放し飼いの鶏肉と卵・放牧された豚なども選択肢として提示されており、 食の安全にはコストが掛かるという認識を消費者にも共有してもらう取り組みがされています。今後は流通を含む生産者・消費者双方の協力体制が一層進展していくでしょう。更には生産者を支援・擁護する行政の施策も基本的に欠かせない重要な要素の一つであります。それらによって安全な食が、 より適正な負担で消費できるようになることが期待できます。
 愛護という観点からは、最近「もうじきたべられるぼく」という、家畜の子牛を主人公にした絵本が人気のようです。家畜も動物園の動物と同じきれいな目をしているのに、どうして殺される運命にあるのかと疑問を感じたのが本作の原点、と作者は語っています。こういう話を聞くと、家畜も動物ですから、一縷の思いも掛けるべきではと感じます。ベジタリアンの原点にも健康志向だけではなく、こういう視点があるのは理解できます。
 嘗て日本人には、食物を「他の生命を頂く」という姿勢で捉える文化が根付いていたと思いますが、現代の日常では、物質至上の風潮を背景に、 そのような思想が薄れてきている気がします。それに呼応してか、生産者が家畜は単なる利益追求用の商品であるとみなしている例も多く、 この分野においても欧州の後塵を拝している現状には、忸怩たるものがあります。高齢化率の高い我が国では、食について量から質へと軸足を転換する 必要性は明白です。食文化は人間の生活を織りなす基本であります。したがって日本の地域風土に合ったアニマルウェルフェアの展開は、 将来に亘る我が国の営みに、大きな影響を与えることになるでしょう。最後にひとつ英語の格言をご紹介します。 
  “You are What you eat”(あなたは、食べたものでできている。)
*今回ご紹介した一部の情報は、昨2023年7月発行の一般誌におけるアニマルウェルフェア特集から、抽出しました。

4.功行費
令和6年(2024年)
6月分功行費(25日~31日から)(敬称略)
○年会費(12,000円、家族6,000円)   太田久、ワールドメイト4,159,000円(集団求修) 
〇寄付金(災害基金、建設基金を含む) 
村尾暉恭10,000円、松田英一10,000円 

7月分功行費(敬称略)
○年会費(12,000円、家族6,000円) 
本田祐子、ワールドメイト4,190,000円(集団求修)
〇寄付金(災害基金、建設基金を含む)
高江敏3,000円、吉田久美子30,000円、松田英一10,000円、高江敏10,000円(家族入祀)

8月分功行費(敬称略)
○年会費(12,000円、家族6,000円)
北全了、山田嶺椿、村山浩樹、ワールドメイト4,134,000円(集団求修)
〇寄付金(災害基金、建設基金を含む)
高江敏40,000円(家族4名入祀)

5.積善箱
北全了18,000円、太田久3,000円、城田伸子1,000円、石田曜揚1,000円、曜ネ古・暐得20,000円、無名氏(1件)2,000円

事務局からのお知らせ
 本号の記事である編集子による烈士と烈女の紹介、また黒川会長の連載コラム「展望台」の内容はたまたまですがいずれも「食」に関係する テーマが取り上げられています。
 当会に伝わる古訓でも「食」については敬虔な気持ちで扱うべきである事が述べられているものがありますし、養生を主題にした訓文集もあります。 「展望台」の結語にもありますように、食というものは自分自身である、という事の意味を考えて正しく「食」というものに向き合いたいものです。
 
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         公益社団法人日本紅卍字会  定     款 (2017-6-1改訂)

第1章  総      則
(名 称)
第1条 この法人は,公益社団法人日本紅卍字会(以下,「本会」という。)と称する。
(事務所)
第2条 本会の事務所は,東京都新宿区(新宿区上落合2-13-21)に置く。
(目 的)
第3条 本会は,日本国内並びに海外において,災害或いは,生活環境の変化によって支援を必要とする人々に対して,中国古典の思想・哲学や文化の真髄を参考にして,正常な社会人としての生活実現へ寄与することを目的とする。
(事 業)
第4条 本会は,前条の目的を達成するため,次の各号に掲げる事業を行なう。 
 (1) 災害或いは,生活環境の変化によって支援を必要とする人々に対する救援,生活に関する相談,その他の援助活動事業
 (2) 中国その他アジア各国からの帰国者に対する,日本の社会への順応のための生活援助,相談等,社会福祉事業
 (3) 日本に滞在する諸外国人に対する日本語教室事業  
 (4) 道徳や慈善に関する啓蒙活動の推進および人材の育成事業   
 (5) 中国の文化遺産の展示その他中国文化紹介のための諸活動  
 (6) その他前条の目的を達成するために必要な事業
2 前項の事業は本邦および海外において行う。
第2章 会        員
(会員の資格)
第5条 本会の会員は,次の5種とし,選定会員をもって一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下,「法人法」という。)上の社員とする。  
 (1) 選定会員 本会の目的に賛同して入会した会員のうち,別に定める入会審査規定に従って選定された者  
 (2) 維持会員 本会の目的に賛同し,選定会員の年会費と同等の会費を納入した会員で,選定会員でない者     
 (3) 準 会 員 選定会員として選定された後,2年以上会費を納入せず,選定会員 資格を失った者  
 (4) 賛助会員 他団体の推薦を受けて,当会の目的に賛同するに至り,規定の会費を納入した者
 (5) 家族会員 選定会員の家族(直系血族・兄弟姉妹および配偶者)であって,選定会員に定められた会費の2分の1に相当する額を納入した者 
(資格の取得)
第6条 選定会員として入会しようとする者については,別に定める入会審査規定に従い,理事会が入会の適否を判断するものとし,理事会の承認があった時点で,資格を取得する。   
2 理事会が,入会審査に際して,審査すべき事項は下記の通りとする。    
 (1) 災害救援活動,国際交流事業,文化紹介活動に関し,相当な知見を有すること    
 (2) 反社会的集団への帰属,会員総数の4分の1以上の者との特別利害関係の存在等,本会の公正な運営の妨げとなる事由のないこと   
3 維持会員になろうとする者は,理事会の定める入会審査規定に従って,会長に申込をするものとする。   
4 賛助会員については,他団体の推薦のもと,会長に申込をすることにより,賛助会員の身分を得るものとする。なお,推薦者となる団体については,理事会が選定 する。   
5 家族会員については,選定会員との家族関係を示す資料を添えて,会長に申込をすることにより,家族会員の身分を得るものとする。   
6 入会審査規定は,総会決議により定めるものとする。
(会員の権利義務)
第7条 会員は,本会の事業活動につき,この定款及び総会の決議に基づき権利義務を有する。
(資格の喪失)
第8条 会員は,次の各号の一に該当する場合に至ったときは,その資格を失う。  
 (1) 退会したとき  
 (2) 死亡し,若しくは失踪宣告を受け,又は法人である会員が解散したとき  
 (3) 除名されたとき   
2 選定会員が2年以上会費を滞納したときは,選定会員資格を失う。
(退 会)
第9条 本会を退会しようとする者は,理事会において別に定める退会届を会長に提出することにより,任意に退会することができる。
(除 名)
第10条 会員が,次の各号の一に該当する場合には,総会において,総選定会員の議決 権の3分の2以上の多数による決議により,その会員を除名することができる。    
 (1) 会員としての義務の履行を怠ったとき    
 (2) 本会の名誉を毀損し,又は本会の目的に反する行為があったとき
 (3) この定款その他の規則に違反したとき
2 前項の規定により会員を除名しようとする場合には,その会員に総会で弁明の機会を与えなければならない。
(会 費)
第11条 総会の決議を経て別に定めるところにより,選定会員,維持会員および賛助会員は,入会金及び会費を,家族会員は,選定会員に定められた会費の2分の1に相当する額を,それぞれ納入するものとする。    
2 既納の入会金及び会費は,原則としてこれを返還しない。
第3章    役     員
(役員の種類)
第12条 本会に次の役員を置く。         
 理事          5名以上11名以内           
 うち 会  長   1名
 副 会 長      2名以内
 専務理事        1名              
 常務理事        1名         
 監事          1名以上2名以内
(役員の選任)
第13条 理事及び監事は,総会においてこれを選任する。    
2 理事の中から,理事会決議により,会長,副会長,専務理事および常務理事を選任する。 3 前項の会長をもって,法人法第77条に定める代表理事とし,専務理事および常務理事をもって,同法第91条第1項第2号に定める業務執行理事とする。
4 各理事について,当該理事及びその配偶者又は三親等以内の親族その他特別の関係がある者である理事の合計数が,理事の総数の3分の1を超えてはならない。
5 他の同一の団体(公益法人を除く。)の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係にある者である理事の合計数が理事の総数の3分の1を超えてはならない。
6 理事及び監事は,相互にこれを兼ねることができない。
(役員の職務)
第14条 会長は,法令及びこの定款で定めるところにより,本会を代表し,会務を総理 する。
2 専務理事及び常務理事は,会長を補佐し,理事会の議決に基づき,本会の業務を分担執行する。
3 会長,専務理事及び常務理事は,毎事業年度に4ヶ月を超える間隔で2回以上,自己の職務の執行の状況を理事会に報告しなければならない。
4 理事は,理事会を構成して,法令およびこの定款に定めるもののほか,本会の総会の権限に属せしめられていない事項の議決に参画する。
5 監事は,この法人の業務及び財産に関し,次の各号に規定する職務を行う。    
 (1) 法人の財産及び会計の状況を監査すること
 (2) 理事の業務執行の状況を監査すること
 (3) 財産の状況又は業務の執行について不正の事実を発見したときは,これを理事会に報告すること
 (4) 前号の報告をするため必要があるときは,理事会を招集すること
(役員の任期)
第15条 理事及び監事の任期は,この定款により選任後2年以内に終了する事業年度の うち,最終のものに関する通常総会の終結の時までとする。ただし,再任を妨げない。
2 補欠として選任された理事又は監事の任期は,前任者の任期の満了する時までとする。
3 理事又は監事は,第12条に定める定数に足りなくなるときは,任期の満了又は辞任により退任した後も,新たに選任された者が就任するまで,なお理事又は監事としての権利義務を有する。
(役員の解任)
第16条 役員が次の各号の一に該当するときは,総会において,総選定会員の議決権の 過半数の総会決議を経てこれを解任することができる。ただし,監事を解任する場合には,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議を経なければならない。また,総会で議決する前に,当該役員に弁明の機会を与えなければならない。
 (1) 心身の故障のため,職務の執行に堪えないと認められるとき
 (2) 職務上の義務違反その他役員たるにふさわしくない行為があると認められるとき
(役員の報酬)
第17条 理事及び監事は,無報酬とする。
(役員の損害賠償責任の免除)
第18条 本会は,法人法第114条第1項の規定により,理事又は監事が任務を怠ったことによる損害賠償責任を,理事又は監事が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がない時は,法令に規定する額を限度として理事会の決議により免除することができる。
(外部役員の責任限定契約)
第19条 本会は,法人法第115条第1項の規定により,外部理事又は外部監事との間に,当該外部理事又は外部監事が職務を行うにつき善意でかつ重大な過失がないときは,任務を怠ったことによる損害賠償責任を限定する契約を締結することができる。ただし,その契約に基づく賠償責任の限度額は,金10万円以上で契約時に予め定めた額と法令の定める最低責任限度額とのいずれか高い額とする。
第4章 顧    問
(顧 問)
第20条 本会に名誉会長及び顧問若干名を置くことができる。    
2 顧問は,理事会の意見を聞き,会長がこれを委託する。    
3 名誉会長及び顧問は,本会の業務運営上の重要な事項について,会長の諮問に応ずる。
第5章 理   事   会
(構 成)
第21条 本会に理事会を置く。
2 理事会は,すべての理事をもって構成する。
(権 限)
第22条 理事会は,次の職務を行う。
 (1)  この法人の業務執行の決定
 (2)  理事の職務の監督
 (3)  会長,副会長,専務理事及び常務理事の選定及び解職
 (4)  事業計画および収支予算の策定
(開 催)
第23条 理事会は,毎事業年度開始前及び事業年度終了後3ケ月以内に開催するほか,必要がある場合に随時開催する。
(招 集)
第24条 理事会は,会長が招集する。
2 理事または監事から会議の目的たる事項を示して請求があったときは,会長は10日以内に理事会を招集しなければならない。
3 理事会は少なくとも期日の3日前に会議で議決すべき事項を文書で示して,会長が招集しなければならない。
4 会長が欠けたとき又は会長に事故があるときは,各理事が理事会を招集する。
(議 長)
第25条 理事会の議長は,会長がこれにあたる。但し,会長が欠席の場合には,副会長,専務理事または常務理事のいずれかが議長の職務を代行する。また,同理事らのいずれもが欠席の場合は,出席者の互選により議長を選任する。
(決 議)
第26条 理事会の決議は,決議について特別の利害関係を有する理事を除く理事の過半 数が出席し,その過半数をもって行う。
2 前項の規定にかかわらず,法人法第96条の要件を満たしたときは,理事会の決議があったものとみなす。
(議事録)
第27条 理事会の議事については,法令で定めるところにより,議事録を作成する。
2 出席した代表理事及び監事は,前項の議事録に記名押印する。
第6章 総 会
(構 成)
第28条 総会は,第5条の選定会員をもって構成する。
2 前項の総会をもって法人法上の社員総会とする。
(総会の招集)
第29条 通常総会は,毎事業年度終了後3ヶ月以内に,理事会の決議に基づき,会長が招集し開催する。通常総会をもって、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第36条1項に定める定時社員総会とする。
2 臨時総会は,理事会が必要と認めたとき,理事会の決議に基づき,会長が招集する。
3 前項のほか,選定会員現在数の10分の1以上から会議に付議すべき事項および招集の理由を示して総会の招集を請求されたときは,会長は臨時総会を招集しなければならない。
4 総会の招集においては,少なくとも7日以前に,選定会員に対し,その会議に付議すべき事項,日時及び場所を記載した書面をもって通知する。
(総会の議長)
第30条 総会の議長は,会長がこれにあたる。会長が欠けた時または会長に事故ある時は,出席者の互選によって議長を選任する。
(議決権)
第31条 総会における議決権は,選定会員1名につき1個とする。
(総会の定足数及び決議)
第32条 総会は,選定会員現在数の過半数の者が出席しなければ,議事を開き議決する ことができない。ただし,当該議事につき書面をもってあらかじめ意思を表示した者及び他の選定会員を代理人として表決を委任した者は,出席したものとみなす。
2 総会の議事は,この定款に別段の定めがある場合を除くほか,選定会員である出席者の過半数をもって決する。
3 理事又は監事を選任する決議を行うに際しては,候補者ごとに第1項の決議を行わなければならない。理事又は監事の候補者の合計数が第12条に定める定数を上回る場合には,過半数の賛成を得た候補者の中から得票数の多い順に定数の枠に達するまでの者を選任することとする。
(総会の議決事項)
第33条 総会は,次の事項を議決する。   
 (1) 事業報告及び収支決算についての事項   
 (2) 正味財産増減計算書,財産目録及び貸借対照表についての事項   
 (3) 入会審査規程についての事項   
 (4) 会員の権利義務及び除名についての事項   
 (5) 会費についての事項   
 (6) 役員の選任及び解任についての事項   
 (7) 基本財産の処分についての事項   
 (8) 定款の変更及び施行細則についての事項   
 (9) 法人の解散についての事項
 (10) 公益認定の取消し等に伴う贈与に関する事項
 (11) 残余財産の帰属についての事項
 (12) その他総会で決議するものとして法令で定められた事項 
(会員への通知)
第34条 総会の議事の要領及び議決した事項は,電磁的記録または会報に記載することにより全会員に通知する。
(議事録)
第35条 総会の議事については,法令で定めるところにより,議事録を作成する。
2 議長及び総会において選任された議事録署名人2名以上は,前項の議事録に記名押印する。
第7章  
資 産 及 び 会 計
(基本財産)
第36条 この法人の基本財産は、基本財産とすることを、理事会で決議した財産とする。
2 前項の財産は、この法人の目的を達成するために、善良な管理者の注意をもって管理されなければならず、処分するときは、あらかじめ理事会及び総会の承認を要する。
(基本財産の処分の権限)
第37条 基本財産は,譲渡し,交換し,担保に供し,又は運用財産に繰り入れてはならない。ただし,この法人の事業遂行上やむを得ない理由があるときは,理事の現在数の3分の2以上の多数による理事会決議および総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議を経て,これらの処分をすることができる。
(事業年度)
第38条 本会の事業年度は,毎年4月1日に始まり,翌年3月31日に終わる。
(事業計画及び収支予算)
第39条 本会の事業計画及び収支予算は,毎事業年度開始前に会長が作成し,理事会の 決議を経なければならない。    
2 事業年度の途中において,事業計画及び収支予算を変更しようとするときは,前項の規定を準用する。
3 事業計画書および収支予算書については,その写しを,事務所に,当該事業年度が終了するまでの間,備え置かなければならない。
(事業報告及び決算)
第40条 本会の事業報告及び収支決算については,毎事業年度終了後,会長が次の書類 を作成し,監事の監査を受けた上で,理事会の承認を受けなければならない。
 (1)  事業報告及び収支決算書
 (2)  事業報告の附属明細書
 (3)  貸借対照表
 (4)  正味財産増減計算書
 (5)  貸借対照表及び正味財産増減計算書の附属明細書
 (6)  財産目録
2 前項の承認を受けた書類のうち,第1号,第3号,第4号及び第6号の書類については,通常総会に提出し,第1号の書類については,その内容を報告し,その他の書類については承認を受けなければならない。
(行政庁への提出書類)
第41条 次に掲げる書類は,毎事業年度開始の日の前日までに行政庁へ提出しなけれ ばならない。
 (1)  事業計画書
 (2)  収支予算書
 (3)  資金調達及び設備投資の見込みを記載した書類
2 次に掲げる書類は,毎事業年度の経過後3ヶ月以内に,第29条に基づく通常総会終了後,速やかに行政庁へ提出しなければならない。
 (1)  貸借対照表,損益計算書および正味財産増減計算書
 (2)  財産目録等
 (3)  滞納処分に係る国税及び地方税の納税証明書
 (4)  運営組織及び事業活動の状況の概要及びこれらに関する数値のうち重要なものを記載した書類 第8章 定款の変更及び解散
(定款の変更)
第42条 この定款の変更は,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議をもって行わなければならない。ただし,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第11条第1 項各号記載の点について変更を行う場合には,総会決議の前に,行政庁の認定を受けなければならない。
(解 散)
第43条 この法人の解散は,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議をもって行わなければならない。
2 前項により解散をしたときは,当該解散の日から1ヶ月以内に,その旨を行政庁に届け出なければならない。
(公益認定の取消し等に伴う贈与)
第44条 この法人が公益認定の取消処分を受けた場合又は合併により消滅する場合(そ の権利義務を承継する法人が公益法人であるときを除く。)には,総会の決議を得て,公益目的取得財産残額に相当する額の財産を,当該公益認定の取消しの日又は当該合併の日から1ヶ月以内に,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第17号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。
(残余財産の帰属)
第45条 この法人が清算をする場合において有する残余財産は,総選定会員の議決権の3分の2以上の多数による総会決議を得て,公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第17号に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与するものとする。
第9章 雑       則
(書類及び帳簿の備付等)
第46条 本会の事務所に,次の書類及び帳簿を備えなければならない。ただし,他の法 令により,これらに代わる書類及び帳簿を備えたときは,この限りではない。
 (1)   定款
 (2)   社員(選定会員)名簿
 (3)   理事および監事の名簿
 (4)  認定,許認可および登記に関する書類
 (5)  理事会および総会の議事に関する書類
 (6)  財産目録
 (7)  事業計画書および収支予算書
 (8)  事業報告および計算書類
 (9)  監査報告
 (10)  役員等の報酬規程
 (11)  貸借対照表及びその附属明細書
 (12)  その他法令で定める帳簿および書類
2 前項各号の帳簿及び書類の閲覧については,法令の定めによるほか,別に理事会決議により定める情報公開規程によるものとする。
(公告の方法)
第47条 本会の公告は,主たる事務所の公衆の見やすい場所に掲示する方法により行う。
(細 則)
第48条 この定款の施行についての細則は,理事会及び総会の議決を得て,別に定める。 附 則  
1 この定款は,一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第106条第1項に定める公益法人の設立の登記の日から施行する。  
2 この法人の最初の代表理事(会長)は黒川謙介とする。  
3 一般社団法人及び一般財団法人に関する法律及び公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律第106条第1項に定める特例民法法人の解散の登記と公益法人の設立の登記を行ったときは,第38条の規定にかかわらず,解散の登記の日の前日を事業年度の末日とし,設立の登記の日を事業年度の開始日とする。

       

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                                 公益社団法人日本紅卍字会役員名簿
                                               令和5年5月20日現在

役職名 氏  名 年  令 就任年月日
代表理事会長 黒川謙介 71 平成10年5月
専務理事 田畑治樹 73 平成16年5月
理  事 天野三千博 63 平成27年5月
理 事 一色源太郎 56 平成29年6月
理 事 新井和治 74 令和元年6月
 理 事 野原次男 75 令和5年5月
監 事 野村和久 64 令和3年12月